九州大学 工学研究院 機械工学部門

学部教育の紹介 − 工学部 機械航空工学科 機械工学コース −

機械工学コースパンフレット

機械工学コースの紹介パンフレットをPDFファイルとして配布いたします.
(印刷や加工はできません.)

受験生の方へ

 人類は道具や機械の発明により,豊かな生活を手にしてきました.私たちの生活を支える機械は,身近にある電気製品や自動車だけではありません.マイクロ・ナノの超精密機器,高度なAI(人工知能)をもつロボット,そして大きいものでは100万kWを超える電力を発生する原動機やプラントまで広範囲にわたっています.これらは全て,機械工学を修めた技術者,研究者の活躍による成果なのです.地球レベルの環境が問題となっている現在,地球環境に優しい将来のエネルギーとしての水素利用技術の研究や,人間に優しい機械の研究,エネルギーの有効利用,バイオテクノロジーなどの分野など機械工学の活躍の場はますます広がっています.皆様も機械工学の道に入って次の世代を担い,人間の知恵の究極にチャレンジしてみませんか?

 機械航空工学科は機械工学コース(定員139名)と航空宇宙工学コース(定員30名)の2コースで構成されています.入学1年後にコースを選択します.(航空宇宙工学コースについてはこちらをご覧下さい.)

機械工学コースの教育目標

 機械工学は電気・電子情報機器,精密機械,自動車,ガスタービン,ロボット,発電プラントなど,あらゆる「機械=もの」づくりに携わるために不可欠な技術の要とも言うべき学問分野です.本コースでは,対象分野を限定することなく,あらゆる分野で応用可能な機械工学に関する能力を養成し,創造性豊かな技術者,研究者を育成することを目指しています.

機械工学コースの研究概要

機械工学コースの各研究室の研究内容をPDFファイルで簡単にまとめました.

材料強度の研究分野

 機械の設計には,機械を構成する材料の強さと使用される状況を把握することが不可欠です.そうしなければ,航空機の墜落,原子力発電所の事故,船の沈没,列車の脱線などの大惨事や,クルマなどの機械の故障が発生します.そこで,最先端の測定装置とコンピュータシミュレーションを駆使して,機械の疲労と破壊のメカニズムを明らかにし,事故を防止する方法を研究しています.とくに最近は,将来のエネルギー源として水素が注目されていますが,燃料電池自動車など水素を利用する機械を安全なものにするための研究に力を注いでいます.
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金属疲労に特有な破面上のしま模様
(電子顕微鏡写真)

流体工学の研究分野

 人類は水や空気といった「流体」に囲まれて暮らしています.河川の流れや海流,大気循環などの自然現象に流体は深くかかわっていますが,機械工学においても,電子機器内の微小な流れから,人工血管・臓器などの擬似生体内の流れ,自動車や航空機まわりの外部流れ,発電用水車やガスタービン内の流れなど,様々な機械の機能発現にも流体がかかわっており,より良い機械を作るためには流れの理解が不可欠です.これからの機械には,性能や効率だけでなく,安全性,低騒音や省エネルギーといった人間・地球環境への優しさが求められます.流体工学の研究分野では,様々な基礎研究を通じて流れの本質を理解し,より良い機械作りに役立てることに努めています.
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ターボ機械の内部流動

熱工学の研究分野

 生活に欠かすことの出来ない電気は,燃料のエネルギーを,一旦,高温の熱エネルギーに変換してから作り出しています.自動車や航空機などが動く動力も熱エネルギーから得ています.そのほか,製鉄所や化学プラントなどの材料製造過程,身近なエアコンや冷蔵庫,コンピュータの心臓部や機械の高温部の冷却,さらには高温・低温を用いた医療など,実に多くの分野・設備・機械において「熱」の輸送と温度制御が重要です.熱工学の分野では,原子力発電やエアコンなどの熱エネルギー変換機器,マイクロ・ナノサイズ,超親水・超撥水といった特殊環境,生物学・医学との境界領域,など様々な先端領域・技術における熱や物質の移動の促進と制御に関する研究を行っています.
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発電用沸騰水型原子炉

燃焼・エンジンの研究分野

 私たちは,日々,大量のエネルギーを消費しながら生活しています.その大部分は燃料を燃焼させることにより得られています.例えば,日本の電力の半分以上は火力発電で供給されています.また,自動車,飛行機,船などの動力源であるエンジンでは,ガソリンや軽油などの燃料を燃焼した際に発生する熱エネルギーを動力に変換しています.一方,燃焼に伴い,地球環境に影響を及ぼす物質を含んだ燃焼ガスが排出されます.そのため,エネルギー問題や地球環境問題は,燃焼と密接に関係しています.燃焼・エンジンの研究分野では,貴重なエネルギー資源を効率よく,かつ,地球環境に悪影響を及ぼさないように燃焼させることを目的として,燃焼の基礎分野からエンジンの性能向上などの応用分野まで,幅広いテーマについて実験や数値シミュレーションにより研究を行っています.
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ジェット点火によるエンジン内の燃焼の様子

機械力学の研究分野

 機械とは,有機的に結合・配列された複数の部品があらかじめ決められた相対運動を行い,その過程で動力源から与えられたエネルギーを適切な力やトルクに変換・伝達することによって,人類にとって有用な仕事を行うために作られたものです.ところが,機械を動作させたとき,部品の慣性力の影響によってシステム全体に不要な振動や騒音が発生し,円滑で安全な運転が妨げられるような事態がしばしば起こります.特に,高性能化を目指して機械を高速化・軽量化する際に,振動や騒音は大きな問題となります.このような動力学的な諸問題を,ニュートンの運動の法則に基づいて原理的に解明するのが機械力学の課題です.それには実験と計測データ処理,モデリング,振動解析が中心的な役割を果たします.さらに有害な振動・騒音の抜本的な防止対策の確立や,必要な運動を合理的に引き起こすための機構や制御法の開発にも取り組んでいます.機械に対する軽量化や高速化への要求が強まる中,安全性や信頼性の向上,環境への悪影響の低減等の観点からも機械力学の果たすべき役割は益々重要になって来ています.
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磁気軸受を用いたターボ分子ポンプ

制御システムの研究分野

 様々な機械システム,例えば,ロボット,自動車,発電プラントなどを数式モデルで表現し,計算機によりその特性を解析し,望ましい動作をするよう制御することがこの研究分野の役割です.燃料電池の動作制御シミュレーションなど,計算機上での仮想工学システム実現を目指した研究や,画像処理技術の研究,様々な知的最適化・設計・制御の研究,掃除ロボットなどのサービスロボットや医療福祉ロボットの研究開発を行っています.
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ロボカップ世界大会で優勝した自律サッカーロボット

加工プロセスの研究分野

 どんなにすばらしい機械を設計しても,実際に作ることができなければ絵に描いた餅にすぎません.設計したものを実際の機械にするのが加工技術や生産技術です.現在,加工プロセス講座では,切削・研削・研磨加工技術,塑性・粉体加工技術およびこれらの技術を具現化する装置化技術などについて研究開発を行っています.具体的には,歯車など機械要素の超精密加工と計測,先端的機能性材料の超精密化学的機械研磨(CMP)とデバイス製作への応用,金属粉末やセラミックス粉末を用いたマイクロ部品の射出成形ならびにレーザ焼結,マイクロ切削・研削工具の製作と部品製作への応用および炭素繊維で強化した燃料電池車用超高圧水素タンクの研究開発,などです.
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開発した燃料電池車用超高圧水素タンク

設計・トライボロジーの研究分野

 地球温暖化や少子高齢化の問題が大きく取り上げられる現代において,機械は,より人や地球に優しい存在であることが求められています.そのためには,自然や人の体の仕組みをよく理解し,それに適応する技術を機械の設計に取り入れることが必要です.設計とトライボロジーの研究では,潤滑や軸受技術の研究開発を通じ,環境負荷の少ない機械・エネルギーシステムの構築に取り組んでいます.また,生体力学に基づいた医療・福祉デバイス,MEMS技術を用いた医用診断機器など,これからの高齢化社会を支える技術開発を行っています.

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機械要素の技術開発と評価

水素利用工学の研究分野

 水素エネルギー社会の実現には,水素を作り,水素を運び,水素を利用する技術が必要とされています.水素利用のなかで,中核となる技術が燃料電池です.燃料電池は水素から直接,効率よく電気を作ることが可能で,排出気ガスがきれいなことから,環境にやさしいエネルギー技術として期待されています.しかし,更に安く,強く,性能良くするためには多くの課題が残されています.水素利用工学の研究分野では,この目標に向かって,燃料電池をはじめとした,水素利用技術における新しい材料や,評価・運転方法(システム技術)を開発しています.
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燃料電池の仕組と課題


創造工房 [Link]

 機械工学コースでは「創造工房」という,学生の自主的なものづくり活動を支援する施設があります.この創造工房は,自由な発想・創意・工夫のもとに,オリジナリティーあふれる機械を製作するための施設です.他の大学にはないユニークなワークショップであり,綿密な年間計画をたてて審査をパスした学生チームが活動資金を受けて,この創造工房で活動しています.現在はロボコン,エコカー,ヒューマノイドの3チームが活動しています.

卒業後の進路

 機械工学コースの学部卒業後は多くの方が大学院に進学しています.また,大学院修士課程2年を経て博士後期課程に進学し,さらに研究を続ける人も増えてきました.学部,修士,博士課程の卒業後,機械技術者はどのような分野でも引っ張りだこの状態です.卒業生がとくに多く入っているのは次のような企業,機関です.多くの卒業生がこのほか多くの企業において指導的立場で活躍しています.
重工業:三菱重工業,川崎重工業,IHI,今治造船,大島造船など
鉄鋼・材料:新日鐵住金,JFEスチール,旭硝子,住友電工,神戸製鋼など
自動車:トヨタ自動車,デンソー,本田技研,トヨタ自動車九州,マツダなど
車両・輸送:コマツ,日立建機,クボタ,全日本空輸,ヤマハ発動機など
電力・エネルギー:九州電力,関西電力,電力中央研究所,東京電力,沖縄電力など
電気・情報:三菱電機,日立,東芝,パナソニック,富士電機など
化学・プラント:JFEエンジニアリング,日揮,新日本石油,旭化成など
精密・医用機械:日本精工,島津製作所,NOK,オリンパス,リコー,キヤノンなど
産業機械:安川電機,荏原製作所,ヤマザキマザック,三浦工業,酉島製作所など
研究機関・公務員:国家公務員(国土交通省,特許庁など),地方公務員,大学教員
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