結晶組織3D/4Dイメージング

図1 結晶粒界トラッキング法のプロセス

 
 3Dで結晶方位をマッピングする手法には、デンマークのRisoeの研究グループが精力的に開発している3D X線回折顕微鏡がある。ただし、3D-X線回折顕微鏡は、変形下の材料では回折斑点のボケが生じて原理的に解析が困難になる。一方、我々は、CTによる4Dイメージングをベースにペンシルビームを用いたXRDを組み合わせることで、材料の結晶学的変形挙動を4D計測できる手法の開発を試みている。 「高分解能イメージング」の項で説明した結晶粒界可視化技術、および「内部力学量4Dマッピング」の項で説明したミクロ組織特徴点追跡技術を組み合わせることで、材料内部の結晶粒変形挙動の4D追跡技術が実現されている(論文1)。我々は、これを結晶粒界トラッキング法と呼んでいる。

図2 結晶粒界トラッキングによる隣接結晶粒間の相互作用(歪のミスマッチ)可視化

 まず、図1に示すように変形破壊などの4Dイメージを取得し、最後にガリウムなどで結晶粒界を修飾して可視化する。次に、結晶粒界像をもとに、全粒子を粒界粒子と粒内粒子に分類する。その後、粒界粒子を面で結んでクローズドな結晶粒形状を再構成するとともに、粒界粒子を追跡して結晶粒の4D変形挙動を可視化する。また、粒内粒子を追跡することで、図2に示すように各結晶粒内の歪分布も同時に計測できる。

図3 結晶粒界トラッキングと組合せるペンシルビーム走査型のXRD

 
 我々は、図3に示すように、結晶粒界トラッキング法にペンシルビームを用いた走査型の三次元X線回折を組み合わせることで、得られたすべての結晶粒に結晶方位を割り当てる方法を提案している(論文2)。これにより、粒界の認識および形状再構成精度が格段に向上すると考えられ、かつ変形を受けた材料にも適用できる新しい結晶学的研究手法と言える。今後、世界のどのグループの追随をも許さず,かつ構造材料の力学挙動の評価に適した手法として仕上げていきたい。

関連解説論文

  1. 戸田裕之,小林正和,鈴木芳生,竹内晃久,上杉健太朗,3D・4Dマテリアルサイエンス:その現状と展望,非破壊検査,Vol.58,No.10,2009,433-438
  2. 戸田裕之,佐藤眞直,奥田浩司,小林正和,放射光を用いた材料の観察と解析,軽金属,Vol.61, No.1, 2011

投稿論文

  1. H. Toda, Y. Okawa, M. Kobayashi, K. Uesugi and Y. Suzuki, Acta Materialia, to be submitted.
  2. H. Toda, D. LeClere, Y. Okawa, M. Kobayashi, K. Uesugi and Y. Suzuki, Acta Materialia, to be submitted.