精密加工学研究室
Precision Machining Laboratory

  1. トップ
  2. 研究内容
  3. 加工プロセス・性能評価

研究内容

加工プロセス・性能評価

テーマ

高圧マイクロジェット(HPMJ)によるCMPパッドの非破壊コンディショニングに
関する研究

現在,CMPプロセスのトータルコストの低減と製品の信頼性確保に向けて,CMPプロセスのシステムやそれに関わる消耗資材(パッドやコンディショナ等)など,さまざまな方面からの検討が進められています.特に,パッド等の消耗資材はCMPプロセスのコストを左右する大きな要因となっています.
CMPプロセスでは,安定した加工特性を確保するために,目づまり(加工屑や反応性生物等の堆積物)したパッド表面をダイヤモンド砥石のコンディショナで除去(研削)している(これをダイヤモンドコンディショニングと称している)のが実情であり,これはCMPで摩耗して消耗する量よりもはるかに大きい量です.また,ベアシリコンウェハのCMPで,パッドのコンディショニングにダイヤモンドコンディショナを用いない場合,目づまりしたパッド表面をナイロンブラシなどを用いてブラッシングし,堆積物を掻き出してパッド表面の洗浄を図ろうとしていますが,この方法ではブラシのあたらないパッド内部などの目づまりを完全に解消することができず,加工特性が不安定になるという切実な問題点が指摘されています.
そこで本研究では,パッド表面を削り取らない非破壊のコンディショニング法として,高圧マイクロジェット(High Pressure Micro Jet:以下HPMJ)技術を取り上げ検討を行っています.このHPMJは,図1の模式図や図2の写真に示すように,数~数十MPaの高圧で超純水を特殊ノズルから噴出することによって,マイクロメータオーダの微小液滴にするとともに,液滴を数十m/sに高速化,この高速の液滴の衝突によりパッドに堆積した加工屑等を取り除き,流れとともに除去することでパッドのコンディショニングを行います.本方法は,パッド表面の微細孔や,不織布などのパッドに対しては内部にまで高速の微小液滴が侵入し,堆積している加工屑等を除去できる可能性があることから,大幅にパッドの寿命が延び,経済的な効果を期待できます.
本研究では,HPMJによるパッドのコンディショニング効果・特性を明らかにし,実際のプロセスへ反映させることを目標としています.


Fig.1 HPMJ模式図  

Fig.2 HPMJの様子

戻る