精密加工学研究室
Precision Machining Laboratory

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研究内容

高精度計測・評価

テーマ

ホブコーティング膜の耐摩耗性能に関する基礎試験

歯車の歯切りを行う切削工具(ホブ)の耐摩耗性能を向上させるコーティング膜について研究しています.

歯車は,二軸間の動力伝達や変速などを目的とする機械要素の一つであり,大動力を確実にかつ高効率に伝動できることから,現代社会で広く使用されている.
その歯車の歯切法は,大きく創成歯切法と成形歯切法の二つに分類することができ,創成歯切法の一つに,精度・生産性に優れ,最も多く使用されている歯切法であるホブ切りがある.ホブ切りでは下図に示すホブという工具を用いる.
従来ホブ切りでは,切削油剤を使用していた(ウェット切削).切削油剤の使用は,工具の冷却や摩耗対策,そして切りくずの排出などに効果がある反面,油煙が発生し環境問題を引き起こしたり,使用後の廃油処理にコストがかかることが問題視されてきた.そのため,最近のホブ切りでは切削油剤を用いないドライ切削が行われるようになってきている.しかしドライ切削では,刃先温度がウェット切削に比べ高いため,ホブ切れ刃の摩耗が急速に進展する危険性が大きく,高速切削が難しい.
その摩耗の問題を克服するため,高速度鋼製ホブを用いたドライ切削では,高温硬度が高く,機械的耐摩耗性能に優れているTi系セラミックスコーティング膜をホブ切れ刃に施し,耐摩耗性能を向上させて高速切削を可能にし,生産能率を向上させようとしている.
しかし,ホブ切れ刃に施すコーティング膜質と膜厚,そしてコーティング膜の酸化とホブ切れ刃の耐摩耗性能との関係性には不明瞭な部分が多い.
そこで本研究では,これらの関係性を実験により明らかにし,さらに実験結果からコーティング条件の最適化と,ホブ切れ刃の耐摩耗性能を向上する新成分被膜材料の開発を目標としている.

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