Biothermal Engineering Laboratory

To design biomedical solutions for human health science based on bioengineering and biothermal engineering

Biothermal Engineering Laboratory

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熱とバイオの融合領域を取り扱う

生体工学は医学や生物学の分野にある諸問題を工学的な見方で取り扱って解決する学問です.当研究室では,その中でも熱工学が関連する問題を取り扱うことを得意としていますが,研究対象はそれに限ってはいません.熱工学から生体工学まで幅広い領域で研究と教育を行っています.

Research

熱工学の視点を活かしながら行う生体工学研究

生体熱工学研究室では,生体工学と熱工学,そして両方が関係する生体熱工学に関する研究を行っています.現在の研究テーマの重心は生体工学寄りで,最も興味を持って取り組んでいるのは次の3つの領域です.細胞や医療に関係する研究であっても,考え方の基礎は熱工学を含む機械工学にあります.機械工学的なものの見方を大切にしています.

細胞に対する電気的作用とこれを利用した低侵襲がん治療に関する生体熱工学的研究
腱・骨・軟骨などの生体支持組織のバイオメカニクス
生物教育教材やバイオ実験装置のオープンソースデザイン

現在取り組んでいる研究,これまでに取り組んできた研究を紹介します.

ごく弱い交流電界の印加による細胞分裂阻害

わずか数V/cmのごく弱い交流電界(Tumor-treating fields: TTFs)を細胞に照射し,誘電泳動力や膜電位の変化を利用して細胞分裂を阻害・抑制することによって悪性度の高いがん細胞だけを殺すという新しい低侵襲がん治療法に関する研究を行っています.シミュレーションと細胞実験によりそのメカニズムや有効性を明らかにしようとしています.

高電圧パルスによる非熱的な細胞アブレーション

数kV/cmの高電圧パルスを印加して細胞膜を破壊し,細胞を壊死させる不可逆エレクトロポレーションに関する研究を行っています.ジュール発熱を抑えて非熱的に細胞だけを除去するパルス印加条件を探したり,低電圧でより大きく除去できる方法を開発したりして,低侵襲がん治療の実現へ貢献することを目指しています.

低電圧で組織表面を治療する接触式不可逆エレクトロポレーション

微小な表面電極を使うことによって,弱い電圧で組織表面の細胞だけを壊死させる接触式不可逆エレクトロポレーションが可能になりました.皮膚表面だけでなく胃腸管や血管内壁の病変を低電圧で非熱的アブレーションするための新しい技術について研究しています.

細胞膜修復のダイナミクスに関する研究

脂質分子の二重膜で構成される細胞膜は自己組織化によって修復する働きを持っています.この細胞膜修復の程度や時間経過を知ることは,不可逆エレクトロポレーションによる細胞壊死プロセスを理解する上で欠かせません.そこで,ガラス電極を細胞に密着させて膜コンダクタンスを計測するホールセルパッチクランプ法を使って,損傷した細胞膜の修復過程について研究しています.

ラマン分光による腱や軟骨組織の
品質の生体工学的評価

ラマン分光は測定対象物の散乱光から分子の構造や成分を非破壊的に計測する方法です.これを統計的解析手法と組み合わせて,断裂修復後の腱-骨付着部はどうして再断裂しやすいのか,膝軟骨の初期変性を非侵襲的に評価できないか,というような生体支持組織のバイオメカニクスに関する問題を解決するための研究を行っています.

「簡素な科学」に基づくバイオエンジニアリングツールの開発

簡単な物理化学原理と優れたアイデアの組み合わせによって提案される簡素な科学ツール(fugal science tool)は,お金のかからない,一般公衆向けの医療を提供するのに有用な方法と考えられています.このような考え方に基づき,デジタルファブリケーション(デジタルデータと3Dプリンターやレーザーカッターの組み合わせ)によって誰でもどこでも作って使える,簡素な科学ツールの開発を試みています.

オープンソースバイオウェア
プロジェクト

自分自身の手で教材や教具を作ることができれば,対象への興味が増すだけでなく,より深い理解に繋がると思われます.そこで,(1)自分自身で組み立てられ,(2)製作や使用方法に関するすべてのデータがインターネット上で無償公開され,(3)そのデータを自由に改変してより良いものにすることができる,という3つの特徴を持つオープンソース生物教育教材の開発を行っています.

Education

担当講義

当研究室では,伝熱学および生体工学に関係する学部・大学院の講義を中心に担当しています.関連する講義は次の通りです.

  • 基幹教育セミナー(学部1年・夏学期)
  • 伝熱学I・II(学部3年・春夏学期)
  • 機械工学実験第二(学部3年・後期)
  • 機械工学設計製図(学部3年・後期)
  • 生体工学基礎(学部3年・秋学期)
  • Heat Transfer II(国際コース3年・夏学期)
  • 生体工学特論I・II(大学院・前期)

生体熱工学研究室はどんなところ?

当研究室では次の三つを大切にしています.

  1.  学生のみなさんの成長に繋がるかどうかを常に考えながら,研究指導を行います.
  2.  学生のみなさんの自主性を重んじます.
  3.  社会人としてのマナーやルールを大切にします.

 
卒業研究は,データや理屈でものごとをきちんと説明できる技術者や研究者になるための訓練です.根拠はなにか? 評価に客観性はあるのか? そのようなことを自ら考えられるようになるということが1つの目標です.
そのためには,自分で手を動かして研究し,教員をはじめとする周囲の人たちに伝え,ディスカッションし,そして再び研究することが大切です.
そうやって研究した結果は,理屈だけですべてを説明することはできないかもしれません.その先に残るモヤモヤしたものの大切さにも気づいて欲しいと思います.

What's New

2023/04/11

新しく卒研生5人が研究室に加わりました.

2023/03/28

さくらサイエンスプログラムの活動レポートがJSTのホームページに掲載されました.リンクはこちら

2023/03/04〜05

B4の今村さんが日本生物教育学会第107回全国大会(群馬)で「誰でも作れるレゴブロックとマイコンモジュールを用いたPCRサーマルサイクラーの開発」という演題の研究発表を行いました.また,藏田がワークショップでオープンソースバイオウェアプロジェクトに関する展示を行いました.

 
2023/01/08〜26

JSTさくらサイエンスプログラムの支援を受け,インドネシアのセベラスマレット大学からAgung教授,学生のPipinさん,Sukmoさんの3名が研究室に滞在しました.

 
2023/01/01

生体熱工学研究室が発足しました.

About Us

教職員

 

Name

E-mail ※

Office

教授

藏田 耕作

kurata

ウエスト4号館634室

助教

塘 陽子

ytomo

ウエスト4号館632室

秘書

山下 伸舞子

yama-taka

ウエスト4号館632室

※メール送信の際は,@mech.kyushu-u.ac.jp を付けてください.

学生(2023年度)

 

 Name

修士2年生(M2)

 平尾航洋,境将貴,河野たま樹,澤田大智

修士1年生(M1)

 木下泰心,楢原尚見,川村悠嗣,船田健太郎,今村篤

学部4年生(B4)

 鳴川優允,山下英哲,東哉太,藤本甚,毛利浩己

学生部屋:ウエスト4号館617室(内線3132)

卒業後の進路

当研究室(含・熱物質移動研究室)を卒業した学生の進路の例です(順不同).
アステラス製薬,中外製薬,旭化成,日本製鉄(新日鐵住金),日立金属,ホンダ,コマツ,日立建機,ヤンマー,オリンパス,富士ゼロックス,ブリヂストン,富士通,東京エレクトロン九州,サムコ,フジクラ,三浦工業,リクシル,九州電力,東京電力,関西電力,化血研,テルモ,NTT西日本,博士課程進学

研究室は伊都キャンパス ウエスト4号館にあります

アクセス・キャンパスマップはこちら(大学ホームページへリンクしています).
〒819-0395 福岡市西区元岡744番地
九州大学大学院 工学研究院 機械工学部門
生体工学講座 生体熱工学研究室