塗布できる半導体による熱電変換

Globe box for halide perovskite film fabrication

塗布できる半導体による熱電変換

半導体で熱から直接発電する熱電発電技術を使うと質の低い熱エネルギー(低温,低エクセルギー)を質の高い電気エネルギー(エクセルギー率100 %)としてエネルギーを有効活用できます.熱電発電デバイスを印刷できれば,低コストでデバイスを生成可能です.塗布できる半導体であるハロゲン化ペロブスカイトの熱電応用の研究を進めています.

波長選択的ふく射特性制御

Experimental setup for spectral reflectance

波長選択的ふく射特性制御

太陽光は波長2 μm以下の強い光ですが,この光を吸収する材料は加熱され,反射する材料は加熱されず赤外域における放射率が強ければ冷却すらされることが知られています(放射冷却).無動力で温度調整できる波長選択的なふく射特性をもつ材料の研究を進めています.

熱伝導現象のミクロ解析

Snapshot of a molecular dynamics simulation

熱伝導現象のミクロ解析

固体内では熱エネルギーは電子と格子振動で輸送されるので,半導体や絶縁体では格子振動を調べることで,熱伝導の詳細を調べることができます.ナノテクノロジーによって微細構造を固体内に生み出すと,その熱輸送を制御できます.原子一つ一つの動きを計算することで,熱輸送の詳細なメカニズムを調べています.

3ω法による熱伝導率測定

Top: Topview of a sample for 3ω measurements, Bottom: Applied current in ω rad (red) and 3ω signal(blue).

3ω法による熱伝導率測定

様々な熱設計において必要となる熱伝導率を3ω法によって測定します.幅30 μmの細線を対象表面に作製することで,加熱と温度測定を同時に行えます.対象を加熱するため細線に角周波数ω radの交流を印加して,3ω radの電圧を測定すると電気抵抗の温度依存性から温度を測定できます.

高圧水素物性および水素急速充填放出

高圧水素物性および水素急速充填放出

水素社会構築のためには,水素の熱物性値は必要不可欠であり,知的基盤情報としての役割を担います.本研究室では最大100 MPaまでの高圧域における水素の熱物性(PVT性質,粘性係数,熱伝導率など)を精密測定し,状態方程式や相関式を作成して,これらを計算する水素物性データベースを開発,提供しています.さらに水素ステーション全体を対象として,蓄圧器からFCVの車載容器まで各機器を流れる水素の温度,圧力,流量等を計算するHRS(HydrogenRefuelingStation)ダイナミックシミュレーションを開発しています.水素ステーションにおける安全でより効率的な水素の充填方法の検証に貢献します.

本研究は水素材料先端科学研究センターHYDROGENIUSと連携して行っています.

次世代冷媒の熱力学的性質

次世代冷媒の熱力学的性質

現在,冷凍・空調機器などで広く用いられているHydrofluorocarbon (HFC)系冷媒は地球温暖化への寄与が大きく,これを軽減させるため,オゾン層破壊係数(ODP)が限りなくゼロであり,地球温暖化係数(GWP)が小さく,かつ可燃性が低い新冷媒の探索が世界中で進められています.HFO(Hydrofluoroolefin) 系冷媒はGWP が小さく,HFC の代替冷媒として期待されていますが,その多くは主に可燃性の問題が見られます.

本研究では,HFO系冷媒の中でも標準沸点温度の低い,R1123 に注目し,この可燃性や不均化反応を抑制ために,R1234yf やR32 の混合系について注目しています. これらの冷媒を対象として2成分系,あるいは3成分系の混合冷媒の気液平衡を測定して,混合冷媒の状態方程式の改善に努めています.

本研究は国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「高効率低GWP 冷媒を使用した中小型空調機器技術の開発」の一環として,附属次世代冷媒物性評価研究センターNEXT-RPと連携して行っています.