機械工学科パンフレット
機械工学科の紹介パンフレットをPDFファイルとして配布いたします.
受験生の方へ
人類は道具や機械の発明により,豊かな生活を手にしてきました.私たちの生活を支える機械は,身近にある電気製品や自動車だけではありません.マイクロ・ナノの超精密機器,高度なAI(人工知能)をもつロボット,そして大きいものでは100万kWを超える電力を発生する原動機やプラントまで広範囲にわたっています.これらは全て,機械工学を修めた技術者,研究者の活躍による成果なのです.地球レベルの環境が問題となっている現在,地球環境に優しい将来のエネルギーとしての水素利用技術の研究や,人間に優しい機械の研究,エネルギーの有効利用,バイオテクノロジーなどの分野など機械工学の活躍の場はますます広がっています.皆様も機械工学の道に入って次の世代を担い,人間の知恵の究極にチャレンジしてみませんか?
機械工学科の教育目標
機械工学は電気・電子情報機器,精密機械,自動車,ガスタービン,ロボット,発電プラントなど,あらゆる「機械=もの」づくりに携わるために不可欠な技術の要とも言うべき学問分野です.本コースでは,対象分野を限定することなく,あらゆる分野で応用可能な機械工学に関する能力を養成し,創造性豊かな技術者,研究者を育成することを目指しています.
機械工学科の研究概要
機械工学科の各研究室の研究内容をPDFファイルで簡単にまとめました.
九州大学機械系研究室紹介 (22MB)
材料強度の研究分野
機械の設計には,機械を構成する材料の強さと使用される状況を把握することが不可欠です.そうしなければ,航空機の墜落,原子力発電所の事故,船の沈没,列車の脱線などの大惨事や,クルマなどの機械の故障が発生します.そこで,最先端の測定装置とコンピュータシミュレーションを駆使して,機械の疲労と破壊のメカニズムを明らかにし,事故を防止する方法を研究しています.とくに最近は,将来のエネルギー源として水素が注目されていますが,燃料電池自動車など水素を利用する機械を安全なものにするための研究に力を注いでいます.
流体工学の研究分野
人類は水や空気といった「流体」に囲まれて暮らしています.河川の流れや海流,大気循環などの自然現象に流体は深くかかわっていますが,機械工学においても,電子機器内の微小な流れから,人工血管・臓器などの擬似生体内の流れ,自動車や航空機まわりの外部流れ,発電用水車やガスタービン内の流れなど,様々な機械の機能発現にも流体がかかわっており,より良い機械を作るためには流れの理解が不可欠です.これからの機械には,性能や効率だけでなく,安全性,低騒音や省エネルギーといった人間・地球環境への優しさが求められます.流体工学の研究分野では,様々な基礎研究を通じて流れの本質を理解し,より良い機械作りに役立てることに努めています.
熱工学の研究分野
生活に欠かすことの出来ない電気は,燃料のエネルギーを,一旦,高温の熱エネルギーに変換してから作り出しています.自動車や航空機などが動く動力も熱エネルギーから得ています.そのほか,製鉄所や化学プラントなどの材料製造過程,身近なエアコンや冷蔵庫,コンピュータの心臓部や機械の高温部の冷却,さらには高温・低温を用いた医療など,実に多くの分野・設備・機械において「熱」の輸送と温度制御が重要です.熱工学の分野では,原子力発電やエアコンなどの熱エネルギー変換機器,マイクロ・ナノサイズ,超親水・超撥水といった特殊環境,生物学・医学との境界領域,など様々な先端領域・技術における熱や物質の移動の促進と制御に関する研究を行っています.
燃焼・エンジンの研究分野
私たちは,日々,大量のエネルギーを消費しながら生活しています.その大部分は燃料を燃焼させることにより得られています.例えば,日本の電力の半分以上は火力発電で供給されています.また,自動車,飛行機,船などの動力源であるエンジンでは,ガソリンや軽油などの燃料を燃焼した際に発生する熱エネルギーを動力に変換しています.一方,燃焼に伴い,地球環境に影響を及ぼす物質を含んだ燃焼ガスが排出されます.そのため,エネルギー問題や地球環境問題は,燃焼と密接に関係しています.燃焼・エンジンの研究分野では,貴重なエネルギー資源を効率よく,かつ,地球環境に悪影響を及ぼさないように燃焼させることを目的として,燃焼の基礎分野からエンジンの性能向上などの応用分野まで,幅広いテーマについて実験や数値シミュレーションにより研究を行っています.
機械力学の研究分野
機械とは,有機的に結合・配列された複数の部品があらかじめ決められた相対運動を行い,その過程で動力源から与えられたエネルギーを適切な力やトルクに変換・伝達することによって,人類にとって有用な仕事を行うために作られたものです.ところが,機械を動作させたとき,部品の慣性力の影響によってシステム全体に不要な振動や騒音が発生し,円滑で安全な運転が妨げられるような事態がしばしば起こります.特に,高性能化を目指して機械を高速化・軽量化する際に,振動や騒音は大きな問題となります.このような動力学的な諸問題を,ニュートンの運動の法則に基づいて原理的に解明するのが機械力学の課題です.それには実験と計測データ処理,モデリング,振動解析が中心的な役割を果たします.さらに有害な振動・騒音の抜本的な防止対策の確立や,必要な運動を合理的に引き起こすための機構や制御法の開発にも取り組んでいます.機械に対する軽量化や高速化への要求が強まる中,安全性や信頼性の向上,環境への悪影響の低減等の観点からも機械力学の果たすべき役割は益々重要になって来ています.
制御システムの研究分野
様々な機械システム,例えば,ロボット,自動車,発電プラントなどを数式モデルで表現し,計算機によりその特性を解析し,望ましい動作をするよう制御することがこの研究分野の役割です.燃料電池の動作制御シミュレーションなど,計算機上での仮想工学システム実現を目指した研究や,画像処理技術の研究,様々な知的最適化・設計・制御の研究,掃除ロボットなどのサービスロボットや医療福祉ロボットの研究開発を行っています.
加工プロセスの研究分野
どんなにすばらしい機械を設計しても,実際に作ることができなければ絵に描いた餅にすぎません.設計したものを実際の機械にするのが加工技術や生産技術です.現在,加工プロセス講座では,切削・研削・研磨加工技術,塑性・粉体加工技術およびこれらの技術を具現化する装置化技術などについて研究開発を行っています.具体的には,歯車など機械要素の超精密加工と計測,先端的機能性材料の超精密化学的機械研磨(CMP)とデバイス製作への応用,金属粉末やセラミックス粉末を用いたマイクロ部品の射出成形ならびにレーザ焼結,マイクロ切削・研削工具の製作と部品製作への応用および炭素繊維で強化した燃料電池車用超高圧水素タンクの研究開発,などです.